@aymnrtsk

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#ルール

 とある国で、王と大臣が問答をしていた。
「法(ルール)を守るのは、一体どんな者でしょう」
「善人であろう」
「では法を破るのは」
「悪人だ」
「法を作るのは」
「王だ」
「無闇に法を増やすのは」
「?」
「愚か者にございます」
 王は少しむっとしたようだったが、幼少の頃より彼の師である目の前の大臣には頭が上がらぬ。仕方なく皮肉めいた問いを投げた。
「では、賢者は法を何とする」
 大臣はその質問をも予想していたようであった。
「悪法を廃するものこそ賢者でありましょうな」
「…………」
 王は手元の法案の束を一瞥し、それらをことごとく暖炉に投げ込む。
 ぱっと跳ねた火の粉が、大臣の済まし顔を明るく照らし出した。

4/24/2023, 12:34:52 PM