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4時間目終了の鐘の音とともに
クラスの5分の1ほどが席を立って駆け出す
急げ急げ

ただでさえ4階の教室は不利
どの教室からも険しい表情で飛び出してくる
向かうのは一階中央廊下の交流スペース
出張パン屋さんが店を出しているのだ

余裕の笑顔でゆっくり行くのは予約組
2時間目の中休みに予約票を投函済みの奴ら
授業が長引いたら予約もできない
教室の位置にしろ、もっと公平にできぬものか

友から託されたリクエストメモを握り締め
負けるわけに行かない戦場へ走る
すでに遠くから騒がしい声が聞こえている
間に合うか…ッ 間に合ってくれ!

飢えた人だかりから次々のびる手・手・手
お店の人は慣れた様子で次々捌く
飛び交うパンと小銭
選ぶ余裕はない、とにかく数は揃えねば

亡者の群れの隙間から手を伸ばして掴む
ヨシ!数量確保だ、
「ください!!!」
友の、私の空っぽストマックを満たしてくれる
愛しいものたちよ

戦利品を確認しながら教室へ急ぎ戻る
おおおお
コロッケパン、焼きそばパン、ハンバーグパン
ハムサンドにメロンパンだ 

1人菓子パンだが仕方ない少しずつ分けるか
予約なしでハンバーグパンまで得られるとは
上々の収穫に胸を張って帰還する
「みんな、お待たせ!!」

より良い予約方式について議論しながら
パクつく我ら
あんまりスマートな仕組みになるのも
かえって味気なくなったりしてね

あー惣菜パン美味しすぎる




「鐘の音」

#186

8/5/2023, 10:56:57 AM