7/10 (月)「目が覚めると」
目が覚めると、まず、トイレを済ませる。それからコーヒーを飲むためにお湯を沸かす。その間に飼い猫の餌と水を新しくして、1日1枚の猫の写真をスマホに収める。今撮ったばかりの写真を見つめ、ニマニマと頬を緩める。猫から冷たーい視線を投げかけられた気がするが、おそらく気の所為。
程なくしてお湯が沸き上がると、ミルクたっぷりの出来たて熱々コーヒーをちびちび飲みつつ、スマホで天気予報を確認する。
朝食、着替え、炊事洗濯、その他モロモロ、、、
いよいよ家を出るという直前に、飼い猫の頭をするりと撫でると、気持ちよさそうに目をとじる。
「行ってくるね。」
じっ、、、とこちらを見上げてくる。そんな可愛い目で見上げても無駄だぞ。後ろ髪を引かれる思いで、家を出た。
扉がしまったのを確認して、Uターンして寝床に戻る。水をひと舐めすると、くぁ、と大きなあくびが出た。ニンゲンが出かけてから帰ってくるまでの間というのは、とてつもなく暇である。アイツが外で何をしているのか知らないが、毎日大変疲れた様子で帰ってくる。しかし、私が玄関に現れると、雲からひょっこりと顔を出した太陽の様に、眩しい笑顔を見せるのだ。アイツの考えることは理解し兼ねるな。そんなことをぼんやりと考えながら、ゆっくりと夢の世界に飛び立っていった。
ガチャガチャと、鍵を開ける音で目が覚める。意識が覚醒し、駆け足で玄関へ行く。
「ただいま。」
「うにゃあ。」
狭い玄関で1人と1匹の声が交差した。
飼い猫のしっぽがゆらゆらと嬉しそうに揺らめいていたことは、ニンゲンしか知らない。
7/10/2023, 11:10:54 AM