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『花束』

花束を渡される夢を見たことがある。

上下左右前後、不安になるほど白いそこに、私の意識がぽかりと浮かんでいた。
目の前には花束を抱えた、これまた白くて大きな誰かが立っている。
その人は服、肌、髪、虹彩に至るまで、真っ白。
なのに手に持った大きな花束は凄く鮮やかで、綺麗なのに私にはなんとなく場違いのように思えた、はず。正直あまり覚えていない。
見上げていれば、相手は少し屈んで花束から一本花を取り出し、私の前に差し出した。青と白、黄色の花びらが爽やかな、大輪の花だったことは覚えている。

「これは、○○ちゃん。」

呼ばれたのは、私の友達の名前だった。
なるほど、スポーツクラブに入っていた快闊なあの子にぴったりな花だと思った。
相手はその花を私に渡し、次は何本かまとめて花を取り出す。

「こっちは××先生、これは□□さん、これはーーー」

呼ばれたのは、学校の先生や当時好きだったキャラクター達の名前。どれもそれぞれの性格に合うような色合い・大きさの花で、私はうん、うんと頷きながら花を受け取る。
いつの間にか六本に増えていた手を器用に使い、次々と花を紹介していたその人が、おもむろに私に手を伸ばした。

「君は、ーーーーーー」

そこで目が覚めたので、この話はおしまい。

2/9/2024, 2:13:27 PM