かたいなか

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謹賀新年。「良いお年を」のお題を、元旦に投稿することになった物書きです。
2023年にアカウントを開設して、3回目の年越し。3月には4周年、シーズン4開始予定。
本当に年月は本当に早いものです
というご挨拶は置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

元旦早朝の都内某所、某アパートの一室です。
藤森という雪国出身者が静かに住んでおり、
アパートの近くには不思議なふしぎな、本物の稲荷狐が住まう稲荷神社がありました。

神社が混み合う前に早々に新年のご挨拶をして、
稲荷子狐の頭とポンポンをちょっと撫でてやって、
神社を管理している家族の奥さんが経営しているお茶っ葉屋さんにでも寄って帰ろうかと、
素早く身なりを整えて、部屋から出ていこうかと
思っておったところですが、

「おとくいさん、あけまして、あそべ、あそべ!」
なんということでしょう。
藤森の頭に狐の子供がピョン!飛び乗りまして、
わしわしわし、カジカジカジ!
髪を噛んで噛んで、毛づくろいごっこしています。

そうですこの子狐こそ、
藤森のアパートの近所、都内にしては深めの森の中、稲荷神社に住まう、稲荷子狐なのです。

どうやって藤森の部屋に入ったんでしょうね
(気にしてはいけません)

「あのな子狐、私はこれから、お前のところの神社に挨拶に行かなきゃならない」
「いらない!あそべ、あそべ」
「去年というか昨日、遊んでやっただろう。
お前が満足するまで、おなかも撫でてやって、
『良いお年を』でおしまい。数時間前だ」

「良いお年をした。良いお年を終わった。
今年なったから、おとくいさん、あそべ」
「こぎつね」

「あそんでくれなきゃ、おとくいさんのレーゾーコの中のお水、ぜんぶオミキ、お神酒にする」
「それは酷く非常に困るからやめてくれ子狐」
「キノコをもちキンチャク」
「こ ぎ つ ね」

ああもう。 あーもう。
稲荷子狐のお得意様に認定されている藤森です。
しゃーないのです。稲荷の狐は善き人、善きモノ、善き供え物への執着が、バチクソなのです。
藤森は魂の根っこが誠実で、優しいので、
諸事情あって、稲荷子狐に匂いを嗅がれて、お気に入り認定されてしまったのです。

結果、藤森と稲荷子狐の付き合いは、
「良いお年を」と「新年明けました」を繰り返し、
かれこれ、2023年から通してそろそろ4年目。
子狐が藤森の頭をカジるのも、じき4年目です。

「おあげさん、おあげさん」
「分かった。わかったから。ちょっとだけだぞ」
「あそべあそべ!おとくいさん、あそべ」

キャキャキャ、きゃっきゃ!
子狐は元旦の早朝からご機嫌。
時計を見れば、段々とお昼が迫ってきますが、
執着強い稲荷子狐、なかなか開放してくれません。
「そろそろお前のお母さんのお店にだな」
「かかさん!」
「そうだ、お前の、かかさんのお店に挨拶を」

「せなかなでて」
「こぎつね」

「良いお年を」から数時間、そろそろ稲荷神社とお茶っ葉屋さんに行きたい藤森でしたが、
元旦から色々ありまして、朝は稲荷子狐の接待に、時間が使われましたとさ。

1/1/2026, 6:38:09 AM