小絲さなこ

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「スタンプだけの理由」



「俺、彼女にウザがられてるかもしれない」

ずっと密かに悩んでいることを、親友に打ち明けた。

「理由は?」
「これを見てくれ」
「いいのか?」

俺はスマホの画面を彼らに見せる。

「どう思う?」
「お前、文章長すぎ!
「つーか、日記じゃねーか、これ」
「いや、俺の書いた文はどうでもいいんだよ!」
「返信が、いつもスタンプだけだな。どんな長文にもスタンプだけ」
「そうなんだよー。やっぱ、ウザがられてるよなぁ」
「うん。ウザいっていうか、よくこんな長文書けるなぁと思われてそう」
「うう……やっぱウザがられてるか」
「読むのダルいと思うぞ」
「隣に住んでて毎日学校でも会ってるんだから、直接話せばいいだろ」
「……あー、うん、そうだよな」

アドバイスに従い、俺は彼女にその日あった出来事やなんやかんやをLINEで送るのをやめることにした。


そして数日後。

「ねぇ、最近LINEが業務連絡みたいになってるけど、なんかあった?」

彼女が心配そうな表情で俺を見つめる。

「あー、いや、なんか……俺、毎日毎日、長文送り付けてたから、ウザかったかなぁと思って……」
「そんなことないけど」
「えっ……でも、返信スタンプだけだし」
「あ、それは……」

彼女の話をまとめると、返信がスタンプだけなのは、俺の書く文章のファンなので、トーク画面を俺の書いたもので埋め尽くしたいだけなのだという。なんだそれ。やっぱり俺の彼女おもしれーな。


────君からのLINE

9/16/2024, 3:55:47 AM