ショウタ

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街の明かり

 コロナ禍では地方移住や田舎暮らしなどがもてはやされているようだったが、密集した住宅街で生まれ育った身でありながらいまだに利便性に勝るものが見出せていない。父は学校に通うために山を登り下りしていたような田舎の出身であるが、やはり自然に身を置く時間が必要らしい。頻度は減っているものの定期的に山へ赴く。
 そのように生まれ育った環境というものにより、ノスタルジーもまた感じる景色は別なのだろうと思う。先日、用事があって遠出をした際、数日山と海ばかりを眺めて過ごしてから帰宅するバスの中で、少しずつ増えてくる街の明かりに安堵したものだった。あれは、それに似たものではなかっただろうか。


2024.7.9

7/9/2024, 2:53:55 AM