孤月

Open App

もう忘れてしまったよ。
思ってたより忘れるのは早かった。

君と歩いた道ってどんな道だったっけ。
なんか、あたたかくて、やさしくて、つつまれた感じだったのは覚えてる。

今の僕はね、そもそも道を歩いてないよ。
ふらふらと足元覚束なく、あてもなく。
道を歩くのを避けて、後ろに下がっていく。
どの道も歩くのを恐れている。
少しだけ道を歩んでみても、すぐ落とし穴に落ちてしまうことがわかっているから。

君と歩いた道、途中で手を放したのはどっちだったかな。多分僕からかな。まあ、そんなことどうでもいいけど、手を放さなかったら、変わってたかなお互い。

でも今はね、もう忘れていいんだって思えるよ。

君は僕を怖がっていたからさ、
瞳の奥に怪物をみたんでしょ?

僕は忘れたことにするから、
君は君のまっすぐな道をがむしゃらに進んでね。

6/9/2025, 7:14:38 AM