椿灯夏

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お題《記憶》

凪いだ水鏡にひと雫波紋が物語を捲る

枯れ果てた冬から泡沫の春に紡がれ

神代から現代へ贈る記憶のおとぎばなし



「氷雨様は唯一無二の神代の歯車のお方なのだから。あなたもそろそろ、わきまえなさいな」


氷雨と同じ街で育って 同じ風景を見て


一緒になろうと花白の誓いをしてくれた


でもそんなものは簡単に破り捨てられてしまう


この世界でも


ああそうやって繰り返すんだ咎の歴史を


「氷雨様」って呼ばれるあなたは私の知らない人に見えた


詩で賛えられ 従者を連れ歩く


もう私を“白椿”とは呼んでくれない


この物語はこれが正しいのだろうか

この物語の中で


――私とあなただけが幸せになれないなんて



なんて馬鹿馬鹿しいおとぎばなしだろう



《途中書き》





3/25/2025, 12:40:13 PM