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私の友達、ハルカはとても器用だった。

私が幼い頃からやっているピアノ。
ハルカはたった2ヶ月の練習で銀賞をとった。
私が2ヶ月もかけて完成させた絵の課題。
ハルカは徹夜で仕上げ、賞をとった。

ハルカはいつも私の一歩先にいた。
そして、私の手を引っ張ってくれた。

ピアノは、ハルカが練習に付き合ってくれて、過去一優秀な成績を残す事ができた。
絵の課題は、ハルカが必死に先生に推薦してくれて、私も小さな賞をもらう事ができた。

けど、今日だけは違った。
横断歩道を渡っている時、ハルカは突然私を後ろに突き飛ばした。
そして、ハルカの体は次の瞬間宙に舞った。
耳鳴りが残るような車の音と一緒に。

ハルカは、
ハルカは、どうして最後だけ、私を突き放していってしまったのだろう。
もっと早く言えばよかった。
「行かないで。いかないで」

10/24/2024, 11:37:32 AM