君にキスした。その瞬間、世界が変わった気配がした。
いろんな心配事、身近なものだったり、遠くの国の人たちのこととか、僕はくよくよ悩んでばかりだった。でも、今はそんなの気にならなくなって、愛とか真実が、きっとそこにあるって信じられた。
ここがどこだって構わない、本当は公園の広場の真ん中にいたけど、ここがお花畑だって、二人で将来住むお屋敷だって、反対に、何にもない砂漠だって、どこだっていい。
情熱が人を突き動かしている。炎のように、メラメラと湧き立つ心がある限り……なんて僕は馬鹿にしていたけど、その意味もわかった。教えてくれた人ごめんなさい。あなたの言う通りでした。
僕は君とひとつになって、世界はそこだけになった。
やがて、崖っぷちに僕たちは立っていることに気づいて、思わず抱き合った。
あたりは殺風景では表せないほど、無の空間になっていて、見下ろすと溶岩が吹き上げていた。
キスなんかしなきゃよかった。
2/5/2024, 10:04:14 AM