冬山210

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『落下』

落下していく。落ちていく。
どこまでも、どこまでも、どこまでも、堕ちていく。

このままでは苦しくて、息ができなくて苦しくて、
嫌なんだ。
落ちるのは嫌なんだ。


でも、ただ一つだけ、落ちたい場所がある。
私はそこへ落ちていきたい。
そこへ落ちることを夢見ている。

いつか重力がひっくり返って、月か何かに引き寄せられて、私はそこへ落ちていく。
私は空へ落ちていく。


きっとそこでも息はできない。
苦しいことに変わりはない。
それでも空へ行けるなら、愛する空へ落ちれるのなら、この身がどうなろうと構わない。
青空だって夕焼けだって、星空だって構わない。
そこへ落ちて、そこへ溶けて、私は空になりたいの。

落下先は空が良いよね。

6/18/2022, 10:32:40 AM