森羅秋

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君と一緒にどこまでも行けるなら
どこへ行くのが望ましいだろう
生まれた土地から新しい土地へ行こうか
それとも電車を乗りついでまだ見たことのない海を見ようか
それとも東京のテーマパークに遊びに行こうか
舞台を観るのもいいし
映画を観るのもいいし
ライブを体験するのでもいい
すぐそこのファミレスでご飯食べるだけでもいい
え? 段々ささやかになっているって?
そうだね
ささやかだからこそ君と一緒にいたいんだ
君と一緒に巡る季節を感じてその隣で笑えたらいいだけなんだ
え? 欲がないって?
君と一緒にいられることが一番の願いなんだ
だから一緒行こう
待ってるよ


とある樹海の木の枝に人ぶら下がっていたのを発見したのは、同じく終を求めて彷徨っていた人であった。
足元に置かれた手紙を読み、誰に宛てた手紙なのかとぼんやり思う。
これだけ愛を語っていても報われなかったのか。と吊るされた人を見あげる。
『まっていたよ』
事切れた人の口から紡がれた言葉は
「!?」
くっきりとはっきりと人の耳に届いた。
人は悲鳴を上げて走り出す。
先ほどまで同じ道を辿ろうとしていたはずなのに、仲間になるのは嫌だと言わんばかりに、手紙を放り出してあっという間に消えてしまった。
吊るされた人は瞳孔の開いた目で遠くを見つめる。
『待っていたんだけどなぁ』

そうしてまた日が流れ、終を求めて彷徨っていた人が手紙を拾う。
これだけ愛を語っていても報われなかったのか。と吊るされた人を見上げて
『まっていたよ』
事切れた人の口から紡がれた言葉は
「!?」
くっきりとはっきりと人の耳に届いた。
人は悲鳴を上げて走り出す。
先ほどまで同じ道を辿ろうとしていたはずなのに、仲間になるのは嫌だと言わんばかりに、手紙を放り出してあっという間に消えてしまった。
吊るされた人は瞳孔の開いた目で遠くを見つめる。
『早く気づいてほしいんだけど』

そうしてまた日が流れ、終を求めて彷徨っていた人が手紙を拾う。
これだけ愛を語っていても報われなかったのか。と吊るされた人を見上げて
『まっていたよ』
事切れた人の口から紡がれた言葉は
「!?」
くっきりとはっきりと人の耳に届いた。
人は悲鳴を上げて走り出す。
先ほどまで同じ道を辿ろうとしていたはずなのに、仲間になるのは嫌だと言わんばかりに、手紙を放り出してあっという間に消えてしまった。
吊るされた人は瞳孔の開いた目で、すぐ横に吊られている事切れた人を見る。
『君と一緒いきたいのに、なんでまだ気づかないの?』


今更ながらホラー注意
20250106

1/6/2025, 10:31:35 AM