列車に乗って
キラキラ光るのは星だろうか。
それとも誰かの涙だろうか。
車窓から眺める夜空はいつもよりうんと美しかった。
ガタンゴトンと列車の音が辺りに響く。不思議と不快には感じない。
ふと、まるであの物語の銀河の中を走っているような気分になった。
しかし、りんごの匂いも野茨の花の匂いも私には届かない。
列車は私一人を、終着点まで運んでいく。
――あの匂いが分かっていたら、どこまでも一緒に行けていたのかもしれないね。
日々家
2/29/2024, 12:36:22 PM