Darling.love&piece

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花の香りと共に

私の母が死んでから、もう一週間になる。
花屋のバイトから帰ってくるなり、私はベッドに飛び込んだ。
今日は私の誕生日だ。いつもなら、母が花束をくれているのに。
母のいない誕生日は、生きている心地がしなかった。
もういっそ、死んでしまおうか。――そう、思っていたとき。
『パサッ』
後ろで、何かが落ちた音がした。振り返ると…。
「さ、サルビア?」
サルビアの花束が落ちていた。花屋で働いている知識を活かす時が来た。
覚えている。サルビアの花言葉は「家族愛」だ。なんてタイムリーなんだ。
誰からのものなのかを調べようと、メッセージカードを探した。
すると、花束の奥の方に2つ折りにされた手帳の切れ端のようなものがあった。
震える手でおそるおそる開くと。
そこには見慣れた文字で「生きて」と書いてあった。
気づけば目から涙が溢れていた。母の字だ。ママが今、ここにいるの?
目をつむり、大きく息を吸うと花のいい匂いがする。
…でも、それだけの香りじゃない気がする。いや、これは香りじゃないのか。
母からの気持ちだ。もう、ママったら。やめてよ。こんな事されたら…
頑張って生きようって、楽しもうって、思っちゃうじゃんか。

3/16/2025, 11:04:28 AM