依頼主の報酬でもらった洋菓子を分けるため青年は少年を探していた。
ふと、目線を路地に移すと黒猫が一匹、目が合う。
探していた少年に似ているなと、思いながら姿勢を低くし背を撫でようと手を伸ばした時、後ろから探していた少年が青年の名を呼びながら背に飛びかかった。
前のめりになって手をつき少年に苦言を言うが少年は全く聞くことなく、視線は青年が持っていた洋菓子に目が行っていた。
青年はいつものことだと切り替え目線を戻すと黒猫はどこかに行ってしまっていた。
背中に張り付く少年を引き連れ公園のベンチに腰掛ける。待ちきれないように少年は、青年の持っている菓子に釘付けだ。
二人して中身を見てみると二つあり、いち早く少年が一つ菓子を手にした。
大きく口を開け頬張るさまは本当に幸せそうで、青年の心は温かくなる。
菓子をほおばりながら少年のおいしい菓子をもっと知りたいという言葉に、そうだなと青年は答えた。
3/12/2024, 2:43:01 PM