「成人おめでとう、鈴木!」
「ありがとう。齋藤こそ…って言いたいけどあんた早生まれだもんな。」
「そうなんだよ!俺だけ成人式後の打ち上げで酒飲めねーんだよ!」
「別に飲んだってバレないだろ。」
「…気分の問題だよ、気分。悪いことって分かってるからさ、なんか嫌な気分になっちまう。」
齋藤とは小学校の入学式の日、席が前後だった時から交流が始まった。さいとうとすずきは五十音順の席だとかなり近くなのだ。
齋藤は昔から真面目な奴だった。クラスメイトが嫌がってサボったトイレ掃除は進んでやっていたし、誰も手を挙げないクラス委員にも積極的に参加していた。
クラスみんなが使っていた他人の家の敷地を通る近道だって、齋藤は1度も通らなかった。
「齋藤ってさ、なんでそんな真面目なの?」
つい口から溢れた問いに、齋藤は少し困ったように答えた。
「さっきも言っただろ?悪いことをすると嫌な気分になるんだ。真面目で居るって楽だぜ?」
「…それだけ?」
「それだけ。」
きっと彼は20歳になるまで酒を飲まないのだろう。
それはなんだか…なんだか、とても素敵な事のように感じた。
1/10/2026, 3:52:51 PM