一番大事なときはじりじりと、しかしあっさりとやってくる。ご臨終です。医師がそう告げた。明日には死ぬと毎日言われていた君の、物言わぬ君の、心電図の音だけが僕の気持ちの頼りだった。親戚たちは葬式会議をしている。静かにもめている。誰かが低くもの申しても、沈黙が会議に沈んでも、僕はふわふわとした気持ちでいる。うれしさでも悲しさでもない。頭の中にずっと心電図の音がしていた。今から死ぬ人のゆっくりとした心音がしていた。題:時を告げる
9/6/2024, 11:43:15 AM