【贈り物の中身】
贈り物については、知恵袋や発言小町などの質問サイトを見ますと、多くの人が悩まれていることのようでございます。
交際しているかたから、「以前贈ったものを返してほしい」と言われたとか、夫からのプレゼントに喜ばなかったらひどいやつだと罵られたとか、そんな話がたくさん出てきます。
小さな子どもが意中の相手にセミの抜け殻をプレゼントして失敗する、といった話も聞きますね。自分がもらうとうれしいからといって、他人もうれしいとは限らないのが、贈り物の難しいところでございます。
本当に、贈り物については、あげる側、もらう側にかかわらず、頭を悩ませることが多いです。
昔の人も今と同じく、贈り物について思うところがあったようす。『徒然草』第二百三十一段に次のような話を見つけました。自分なりに解釈したので、間違っているところがあるかもしれません。
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園(その)の別当入道という料理の名人がいました。ある人の家で立派な鯉が出されたとき、皆が別当入道の包丁さばきを見たいと思いました。しかし、気軽に頼むのもどうかとためらっていると、別当入道はそれを察し、自ら言いました。
「この頃、百日続けて鯉をさばいて料理の腕を磨いております。今日も休むわけにはいきません。是非、その鯉を調理しましょう」
皆は別当入道の当意即妙な計らいに感心しました。
この話をある人が北山太政入道殿に語ったところ、太政入道は次のように批判しました。
「このようなことは、私には非常にわざとらしく、嫌味に聞こえる。ただ、『さばく人がいないのでしたら、お渡しください。私がさばきましょう』と言うほうが、ずっと良いだろう。どうしてわざわざ『百日の鯉』などと言うのか」
その話を聞いた人は深く納得したといいます。
兼好法師もこの話に納得し、次のように述べています。
わざとらしい小細工で人を喜ばせるよりも、何もしないほうがよい。
人に物を贈るのも、ただ「これを差し上げましょう」と言って渡すのが、真の好意である。
もったいぶったり、勝負ごとの景品にして贈るのは、興ざめである。
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これは、贈り物の渡し方についての話でした。「百日の鯉」という言い方も、相手に気を遣わせないための計らいだったのだと思うのですが、確かに少しくどいような気もします。
本当に、贈り物の悩みは尽きないですね。
さて、僕自身につきましては、どちらかと言うとセミの抜け殻をプレゼントして嫌がられるほうでございます。面目次第もないことで、相手の気持ちを一番に考えなければなりませんね。とほほ~。(大昔のアニメ風に)
12/3/2025, 5:56:18 AM