白夜

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『キミが好きだ』
彼の作った曲にその歌詞があった
その言葉は私への言葉だと思っていた……
でも、違った彼が想いを寄せるのは私ではなく、誰かだと気づいたのは彼のある手紙だった
私と彼が出会ったのは、中学生の時だった1年生の時はクラスが違って接点もなく、2年生になって初めて彼を見た時私は彼に一目惚れをしてしまったでも、これは一方通行の片思いと分かっていただって彼の周りには沢山の友達がいてその中に当時の彼女がいたからだよく二人で廊下を歩いてるのを見かけたりもしたし、思ったら駄目だけど(別れてほしかった)そんなこんなで何も進展しないまま中学3年になったり奇跡的に彼とまたクラスが同じになったある日の事、噂で彼女と別れたと聞いた時私はすぐに彼のもとに向かったすると彼は少し苦笑いをしながら友達と話してるのを見て彼が我慢をしてるんだと思った
私は抱きしめてあげたかった、話を聞いてあげたかった、でも彼とは何の接点もなければ挨拶をするぐらいしか喋ったことがなかった
それでもどうにかして彼を元気づけたかった
そうして色々考えてるうちに放課後になった教室で私は帰る用意をしているとたまたま忘れ物をした彼が教室に入ってきた
『おぉ~今帰り?』と彼から話が振られ私は思わず『えっ!』と声を上げてしまった
彼は『急にごめん笑帰る準備してたから』
『いや、こっちこそなんかごめん笑、うん〇〇くんも今帰り?』と思わず聞いてしまった
すると彼が『うん、忘れ物してさそうだ!〇〇って家駅の近くだったよなぁ?もし良かったら一緒に帰らねぇ』と誘ってくれたのだ
彼からそんな言葉が出ると思わなかった私は少しの沈黙の後に『うん!』と返事を返した
初めて彼と帰れて嬉しかったのを今でも覚えているそして帰りながら世間話をしたら彼が中1の時からギターがしてるとか作詞作曲をしているとか彼のことを色々聞いているうちに、将来の話になり
『〇〇って高校どうするんだ』と聞かれ『うーん、まだ決まってないけどとりあえず私でも入れそうな所にしようかなぁって〇〇くんは?』と聞き返すと彼は『俺は音楽で食べていけるように音乃学園(おんだいがくえん)にしようかと思ってる、あそこって強豪校じゃん』『あぁ~そうだったね、私もそこにしようかなぁなんちゃって笑』と私が茶化すと彼は『いいじゃんでも〇〇楽器なんか弾けるのか?』と問われ『うん小3の時からピアノとかやってるよそれに私の家音楽家系だから笑』と言うと『えぇ!知らなかったじゃぁいいじゃん音乃学園にしろよ』と言われた私は『まぁ考えとくよ』と言い返して彼とは別れた
そしてそれから1年が経ち私は彼の言われた音乃学園に入学した
彼も合格し合否結果は二人で見に行く中になっていた、そして私は片思いのまま高校を卒業して彼とはメールでやり取りをしたり
月1会う程度の付き合いになり、彼がデビューと同時に曲もリリースをすることになったと聞いた時私は泣きながら祝福をしたそんなある日の事、中学時代の友人から電話がかかってきた出ると友人は少し戸惑いながら私に『あのね一昨日に〇〇ちゃんが…』と名前を聞いた途端私の頭の中が真っ白になったなぜかって?
その名前が彼の中学時代の元カノだったからだ
『ねぇ、聞いてる?』『え!何ごめんもう1回言って』『〇〇ちゃんが一昨日車の事故で亡くなったってだからお葬式が明後日あるらしい友人葬だから私達も参加出来るんだって』私は涙も出なかったただ立ち尽くすしか出来なかった
(そうだ彼にも言わないと)
『ごめんまた後でかけ直す』
「プルルル、プルルル」
『もしもし』彼の声は少し暗かったそらそうだ中学時代と言っても元カノが亡くなったのだから『ごめんね急に、大丈夫?』と聴くと彼は『大丈夫って言ったら嘘になるけど大丈夫、こんな楽しい事があった後にこんな仕打ちありかよ』そう彼は言った私は掛ける言葉が出てこなかった
そして彼女の葬式当日は雨が降った、まるで彼女が泣いているかのように雨は段々と強くなっていった
葬式の後、私が帰り際彼に手紙を渡された…
『これ1年後の今日彼女の墓参りの時に置いといてくれないか』といった彼はゲッソリとしていた、それでも彼はその日から多忙な日々を送っていた彼から『俺今回恋愛系の曲リリースする予定なんだけど〇〇に聞いてほしい』と頼まれたのでCDを貰い家で聞いてみると私の心を見透かされたかのような言葉の数々がたくさんあり最後は『キミが好きだ』で終わっていたなんでか分からなかったけど渡しに行ってくれているような気持ちになった
彼に『あの曲良かったよ、多分共感してもらえると思う曲だった』と彼に言うと『おぉ~良かった笑』そして電話を切った
ふと私はあの手紙を思い出した、どうして彼女のお墓にこれを置いてきて行ったんだろう
悪いとは思ったが中身を見るとそこには

〇〇
あの時なんで君が僕と別れたいって行ったのか今でも分からない、僕は今でもこれからもキミを忘れることはないと想う
近いうちに君のために作った曲を出すつもりだったけど間に合わなかったそれでも良いキミが空から聞いてくれさえくれれば……
キミの気持ちを聞きたかった
キミの所へ行くのはまだ先になるかもしれないだから、待っていてくれなんて言わないでも僕がキミを想っている事だけは忘れないでほしい
じゃぁバイバイ

と書かれていた
私はバカだ彼を今まで寄り添ってきたつもりでいたでも彼の本当の気持ちまでは分からなかった、彼が今でも彼女の事を想っているなんて……

5/6/2025, 12:38:20 PM