今日の心模様はなんですか?
黒い狐のお面を被った不思議な少女は今日も現れた。
その子はいつも変なことを聞いてくる。
僕の来世のことを聞いてきたり、明日の太陽の天気を聞いてきたり……と。
なので、今日のは幾分マシだ。
そんな答えが分からないような質問なので、いつも適当に答えていたので、今日も適当に答えた。
「まぁ、晴れのち曇りっていうところかな。」
「ふうん。」
その子は興味なさげに返答した。
きっと、この子も正直僕の答えに興味ないのだろう。
その方が楽だ。
「君は?」
「……雪だな。」
「なら、温めてやるよ。」
僕はそう言い、その子の手を握った。
その子は猫みたいにビクッとし、警戒していたが、徐々にその警戒は解かれ僕の手に自分の手を委ねた。
僕はそのまま調子に乗りその子を少し自分の方へと引っ張り、バランスを崩したその子を抱きしめた。
「今の心模様はなんだ?」
「………………晴れ、です。」
ほんのりと耳が赤くなったその子を僕はしばらく抱きしめていた。
「僕も、晴れになった。」
こっそり仮面を取ろうとしたが、その子は頑なに仮面を取ってくれなかった。
お互い、何も知らない。知ろうとしない。
どこかもどかしいその関係はお互い心地よく、ずっとそこに酔ってしまいたくなるような……。
僕の心は甘く、満たされていた。
4/23/2023, 12:17:24 PM