Clock

Open App

〜暗がりの中で〜

幼少期から暗いところや狭いところが苦手だった
閉所恐怖症・暗所恐怖症だと聞いた
小さい頃はお化けが出てくると思っていたからそこからの恐怖心だろうと思っていた
今はお化けではなくリアルなストーカーや酔っ払いのおじさんなど夜に会うと死ぬほどびっくりするようなものが怖い
猫でも驚くようになった
そして修学旅行で知らないところに来ているということもあって今は感覚的なものは敏感だ
少しの物音や家なりでさえもビビってしまう
時間的にはそこまで遅くないから大丈夫だが夜中きっとトイレには行けない
怖すぎ……何かで、出てきそう……
顔を真っ青にしている俺を心配そうに顔をだす
ひゅ…っと喉の奥から変な音が鳴る
び、ビビった……
「お前大丈夫か?なんか顔色悪いぞ」
のぞき込まれた瞳の中に僕が映る
確かに顔色悪く見えるのかもしれない
震える手を必死に押えて我慢する
さすがに迷惑かける訳にも行かない……

昼まではワイワイしていたが夜になってくると次第にテンションが下がってくる
楽しいよりも優先的に怖い怖いや気持ち悪いが侵食してくる
「やっぱり顔色悪いよ?吐きそう?」
部屋で話しかけてきた同室の男子
今は助けを呼べる状況じゃなかったからコクリと頷く
水を差し出されそれを少しずつ飲む
吐き気は治まってもぜぇぜぇと喉の奥から音が聞こえてくることに変わりなかった
「先生にはいってきたから、部屋戻ろっか、1人で帰れる?送っていこっか?」
今は楽しい修学旅行の時間
思い出はめいいっぱいに作って欲しいから着いてきてもらうのはやめた
廊下に出るとヒヤッとした空気と真っ暗で何も見えなかった
1歩足を進めるとヒタッヒタッとスリッパを履いた足に冷たさが伝わってくる
寒い……
部屋の近くまでは来れたもののそこの鍵を持っていなかったから中に入れず入口の前で縮こまっていた
カツカツと人が歩く音が聞こえる
こちらに近づいてくる足音が怖くて仕方なかった
足を抱えている手の力を強める
「あ、居た居た縮こまってどうした?なんか怖いことあった?鍵もってきたけど中入ろっか」
そう言ってガチャっと鍵を開けて中に入れてくれる
僕がこっちに行ってる時に鍵のことを思い出して持ってきてくれたと言う
優しいな……でも、戻らなくて、いいのかな……
「一人でいるの怖くない?俺怖いわw俺は怖いから残るよ、寝てな」
ポンポンと頭を撫でられてそのまま眠りにつく

怖いって言ってたのに暗がりの中で僕のことを助けに来てくれたのかな…優しい
じんわりと目が潤んでポカポカとした暖かい感覚がする
深夜くらいに目を覚ましたが彼はまだ起きていてほかの友達などは眠っていた
「お、起きて大丈夫か?キツくないか?」
質問攻めに合うが全て大丈夫で返した
初めの頃より落ち着き今はよく寝たという思いが強い
寝なくてもいいのか……?
「少しだけ遊ぼうぜ、スマホ持ってきたしさ」
その後は1時間くらいスマホで動画を見たりゲームをしたりして遊んでLINEも交換した
この学校に入ってから初めてLINE交換したかもしれないとウキウキした
その後は体調を酷く崩すことも無く修学旅行を満喫できた
学校を卒業する日も大学に入ったあとも彼とは仲良くしていたい

10/29/2022, 5:18:15 AM