陽月 火鎌

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窓の外の景色を見る。
時折真っ暗闇になるのが難点だが、それで差し引いても余りあるほどの良い絶景が見れる。それでも暗闇は困るのだがな。

しかし最近、窓の調子が悪い。グルグルと窓自体が回ったり、二つある窓の一つが暫く暗闇状態が続いたり。一番酷い時は、いつもとは違う暗闇が数日続いたことだな。アレは酷かったな。暫く前はスピーカーの調子が悪い時期が数週間続いたし、そろそろ替える頃かもしれんな。

そんなことを考えていたからか、窓の外に居る人物と、スピーカーから聞こえる声に気づくのが遅れた。

『⸺ルビカ オル ラスヴェ ケルベ ズダック!』

声……呪文に気づいたときにはもう遅く、俺は引きずり出されてしまった。



「ユウ、引きずり出せたぞ!」

一際目立つ青年と、大昔の人間に似たジジイ。ジジイに引きずり出されたのかよ……可愛い女の子が良かったぜ。

「ほ、ホントに俺の中に、魔物がいるなんて……信じらんねぇ」
「なんじゃとお主。師匠の言葉を信じてなかったじゃと!?そこに直れ!鍛え直してやるわ!!!」
「えっわっ!?ちょっ、ジイちゃん、やめ、イタッ!?」

俺、取り憑くやつ間違えたか…?

【窓は視界、スピーカーは耳】

9/26/2024, 9:25:57 AM