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綺麗な月が見える夜に、ワルツを踊ってみたい。
微かな月明かりに照らされて、可憐で優雅な舞を、愛しき人と一緒に。

そんな夢物語を妄想している。


黒で覆い尽くされた空。
過剰な光を浴びせるパソコン。
カタカタと鳴りやまないキーボード。
周囲には人っ子誰もいない。

見てわかる通り、残業中だ。

真っ暗な夜空と機械的な明かりとキーボードに向かって舞い上がる腕はあるが、先程のロマンティックな妄想とは到底遠い。

所詮夢物語は夢物語なのだ。

私は腕を少し止めて職場の窓から空を見あげた。
月は見えない。
そもそもここの階層が低い且つ異様に高いビルが何軒も建ってるせいで月なんて見えない。

ため息が零れた。
早く仕事を終わらせないと。

綺麗な月夜とは程遠い、微かに光る蛍光灯の下で私はエンターキーを押した。

3/8/2026, 7:44:04 AM