返却されたテストの点数を見て、心が踊る。
そうそう、今回は手応えあったんだよね。
決して100点とかではないけれど、ここ最近の私にとっては久しぶりにものすごく良い点数だった。
なのに。
「今回の平均点は――点だ」
なんて先生が言うものだから、頭が真っ白になった。
…なんだ、頑張って勉強した成果が出たのだと思っていたら、皆にとっては当たり前の簡単な内容だったんだ。
そしてやっぱり私は平均点に届かない。
天国から地獄とはまさに。
昨年までは、むしろ“できる側”の人間だった。
それはずっと昔から。
やればやっただけ結果が出るのに、点数取れないっていうのが意味不明だった。
今年は…
“特学”と呼ばれるクラスになった。一目置かれるそのクラスは、有名大学に行くような子ばかり。
つまり授業の進度も難度も桁違いで。
私は一気に転落した。“できない側”の人間に。
クラスの人達との会話にもそもそも馴染めない。
皆にすごいと言われる高校に行って、すごいと言われるクラスに所属して。
一見華々しく見えるそれは、かつて自分が憧れたもの。
けれどそこにはもちろん順位があり、下の方になる人間がいるわけで。
そんなことを私は考えたこともなかった。
その立場になって初めてわかった、気付いた。
そうして見えたもの。
焦り
悔しさ
嫉妬
なりふり構わず頼ること
努力してもどうにもならないこともあること
そして最上位があるなら最下位が存在すること
湧き上がるドロドロした自分の気持ちに驚いたし、できる人達独特の人間関係はまるで別世界で、凄まじい疎外感も感じた。
そして彼らもまた、“できない側”の理解はなかった。そう、かつての私のように。そしてそれはそれで衝撃だった。
堪らなく辛い一年間だったけれど、今となっては良き思い出。
両方の立場から物事を見る、貴重な経験だったと思う。
だから私は、その両方を理解して夢を追いかけていきたい。
12/2/2022, 2:22:53 PM