弥梓

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『まだ見ぬ世界へ!』

 人並みに幸せで、人並みに苦労して、それなりの人生だった。
 積極的に死ぬ理由もなく、かと言って高尚な生きる理由もない人生がまもなく終わる。
 私とて生き物だから、死の瞬間は恐怖するのだろうと朧げに思っていたが、実際にその足音が聞こえてくると、ああ、やっとか、と安堵が私を支配した。
 死は終わりではない。
 まだ見ぬ世界への旅が始まるのだ。

6/28/2025, 3:53:59 AM