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 俺は自分の衣装箱を漁っていた。

 昨日、彼女との会話で
「寒くなってきたね。去年あげたセーターまだ持ってる?あれ、一緒に着てペアルックしようよ」
 と言われ、セーターを探している。
 愛する彼女の願いに、俺は断るすべを持たない

 しかし、おかしなこと仕舞ったはずのセーター見当たらないのだ。
 愛する彼女からもらったセーターを捨てるわけがないのだ。
 それに加え、仕舞い込んだはずのヒートテック、長袖のシャツ、防寒用上着も見当たらない。

 これは異常事態だ。
 冬用の衣装が尽くなくなっている。
 間違いない
 これは妖怪冬着隠しの仕業だ。

 メルカリで買った数珠を握りしめ、部屋の中央に立つ。
「妖怪よ。姿を表わせ」
 数珠が光り輝き、部屋を光で満たす。
 そうして光が収まった部屋には、俺以外に妖怪が立っていた。
 そいつは俺のセーターとヒートテックと防寒用上着を着ていた。
 犯人は間違いなくコイツだ!

「ちっ。見つかったか」
 妖怪はそう言うと、部屋から逃げようとする。
「逃がすか。悪霊退散」
 俺は手の持っていた数珠を妖怪に投げつける。
「ぐわー」
 数珠が当たった妖怪は悲鳴を上げながら燃え上がる。

「くそ、ただで死んでたまるか」
 そう言うと、妖怪は着ていたセーターを粉々に破いて、そのまま、燃え尽きてきた。
「なんてことだ」
 俺は膝から崩れ落ちる。
 これでは彼女とペアルックが出来ない。

 ということにして、彼女に謝ることにしよう。
 …怒られるかな
 どっちにしろ、セーターは見つからないので謝るしかない
 どうやって謝ったものかと考えていると、彼女からラインが来た

「ゴメン。妖怪冬着隠しにセーターをやられた。セーターのペアルックはまたこんどにしようね」

11/25/2023, 8:20:50 AM