『初恋の日』(藤村の初恋のりんごネタをお借りしてます)
※BL 二次創作
街を歩いていると、仕事中の君に偶然出会った。
ラフな普段の服装と違い、仕事着を着た君は凛々しくて目を奪われていると、君が僕に気がついた。
その手には真っ赤に熟れたリンゴが二つ。視線だけで僕の疑問に気がついた君は、見回りの最中に街の人がリンゴをくれたと教えてくれた。
「ほらよ」
君が投げた真っ赤なリンゴが、弧を描いて僕の手の中に収まった。
君に連れられるまま人気のない路地裏に入って、積まれた木箱の上に並んで腰を下ろす。
りんごにかぶりつく君に倣ってりんごを一口かじれば、甘酸っぱい果汁が口の中に爽やかに広がる。しゃりしゃりとした歯応えもあって、これは上物だ。
もう一口かぶりつくと、果実から溢れたりんごの果汁が、僕の右手を伝い落ちる。
このままだと袖についてしまう、と思い、りんごを左手に持ってどうしようかと一瞬悩んだ矢先、右手が急に持ち上がった。
そして、生暖かいざらざらとした感触が手首と手のひらをなぞった。
驚く僕を見た君は、ニヤリと笑った。
ああ、これは確信犯だ。
これが僕の初恋の日だ。
5/7/2026, 11:00:39 AM