ミキミヤ

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音楽、歌声、熱気、歓声――。ライブハウスは、今、そういうもので満たされていた。


「みんなー!!今日はライブに来てくれてありがとー!!もっともーっと盛り上がっていくよ!!次はこの曲!!」


私の歌姫は、今日も特別な輝きを放っている。
その輝きを受け取って、私はペンライトを振り、声の限りに応援する。
この『大好き』が届くように、せいいっぱい。


彼女はいつも、『ずっと』とか『永遠』とかを歌ってくれる。彼女を知りたての頃は、私もそれを信じていた。
しかし、私もそこそこ大人になってきて、『ずっと』や『永遠』はそうそう存在しないことに気づいてきた。

『ずっと』友達でいようと約束した子と、道を違えた。
『永遠』を誓ったはずの夫婦が別れるのを見てきた。

私は彼女を永遠に応援し続けるつもりでいるけれど、きっとそれも無理だろう。
だって、彼女がステージからいなくなる時が来たら、私の応援はもう届けようがなくなってしまう。考えたくもないが、理由はどうあれ、いつかその日は必ずやってくる。
それに、彼女がステージを去るより先に、私がこの世を去る可能性だって無くは無い。
永遠を阻むものは、意外と多いのかもしれないと、私は思ってしまうのだ。


だからこそ、私はライブに来る。
目の前の彼女に、直接伝えたいと私は思うから。

身体の疲労も忘れて、明日のことすら忘れて、この瞬間に集中する。
声が枯れるまで『大好き』を伝えるつもりで、私は彼女へ声を上げた。

10/21/2024, 11:38:39 AM