自分

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「妄想するのが好きです。」
僕の学校に来た転校生が自己紹介で放った言葉にクラスはクスクスと笑う。

「昨日は野良猫と仲良くなって一緒に旅に出る妄想をしました。」

クラスの一軍と呼べる者たちがさっきよりもでかい声で笑う。

昼休み僕は転校生に話しかけた。
「僕も妄想が好きなんだ。君の昨日の妄想とても好きだった。良かったら友達にならない?」

転校生はうなづく。

その日から転校生と僕との妄想話が始まった。ある時は火星人を殺す話、またある時はプールに住み着いた金魚達と一緒に泳ぐ話、地底に潜り地底に世界を作る話、神社のお祭りで運命の人と出会う話

とても楽しい時間だった。

ある日転校生は言った。

「今日の妄想は明日世界が終わるなら!」

僕はとても意外だった。なぜなら今までの転校生の妄想は猫や、プール、運命の人等と明るい話ばっかで世界が終わるなどの暗い話は無かったらからだ。

「実はね君がいつもする妄想話が好きで今日はベクトルを変えてみたの」

転校生は言った。ニコッと笑いながら
僕はその笑顔に惚れた。笑顔に惚れるずっと前から彼女のことが好きだったのかもしれないが。
彼女と話す時は楽しかった。時間も忘れるほどに

彼女は言う。
「君は明日世界が終わるなら何をする?」

僕は少し考え、こう言おうと決めた。
   君に告白をするよ。
ただ今この言葉を言ってしまったら告白の意味が無いと思い僕はこう言った。

「明日言うよ。」

彼女は残念そうな顔をしたが笑顔で「明日が楽しみ」と言ってくれた。

そして家に帰った僕は両親に泣きながらあることを伝えれる。

「さっきニュースで、明日……世界が終わるって………」

【明日世界が終わるなら】

5/6/2024, 3:59:19 PM