sippo

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オッフェンバックの天国と地獄が苦手だ。
嫌いじゃない。苦手だ。特に今。
運動会を思い出すし、なんだかすごく急かされてそわそわするし、なのに底抜けに明るい感じ。

運動会は毎年憂鬱だった。
イベントの非日常感は大好きなのだが、なにせ運動がからっきしできない。
走るも飛ぶも投げるも、ぜんぶ苦手だ。
何をしても後ろから数えるほうが早い順位になるし、チームの足を引っ張ってしまう。
学生、特に小学生なんて残酷で、誰かが足を引っ張って負けてしまったら、競技中に憐れみの目を向けられるだけでなく、味方からもじとりとした非難の目を浴びせられるのだ。
できる限り地味な種目を選んで、自分の出番が早く終わることを願うばかりだった。

ここのところ、気分が安定せず鬱屈とした毎日を過ごしている。
精神科の先生は毎回「まだゆっくり休む時期なんですよ。不安が過ぎるのを待ちましょう」なんて、当たり障りのない無責任ともとれることしか言ってくれない。
どういう過程を踏んでこの不安が過ぎるのか、何を持って不安が過ぎたというのか、それまでわたしはどのように過ごせば良いのか、そういうことが知りたいのに。
原因のわからない焦燥感に駆られながら、何を為すでもない日々の日数だけが膨らんでいく。

わたしの生活のバックミュージックに、天国と地獄が小さな音で流れ続けているみたいだ。
人の気なんて知らないで、明るい長調で。

5/27/2024, 11:20:54 AM