俺は自分のズボンのポッケをさすると、ポッケの片隅にそっと入れてある秘密の箱。
と言っても俺にとっては秘密でもなんでもない。でも、かけがえのないほど大切なもの。
細かいことは事前に聞いていたから問題ないんだ。
色々と特別に話し合って依頼して、ようやく届いた特別なもの。
帰ったら恋人に渡そうと思っているけれど、喜んで……くれるよね?
彼女が受け取ってくれた時、どんな表情をするのか少し怖い。嫌な顔されたり、そもそも受けとってくれなかったらどうしよう。
少しだけ胸がドキドキして冷や汗が出るけど深呼吸して心をおちつけると静かな時間が流れた。
「ただいま帰りましたー!!」
玄関から愛しい彼女の声が響き渡る。
心臓が飛び出そうなほどびっくりしたけど、満面の笑顔で飛び込んでくる彼女に嬉しくて抱きしめてしまった。
「ふふふー」
「おかえり、お仕事お疲れ様」
ご機嫌な彼女。
さぁ、どのタイミングで彼女に秘密の箱を渡そうか。
おわり
五二六、秘密の箱
10/24/2025, 1:59:53 PM