天音

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「食べる」という行為がただひたすらに、気持ち悪い
時期があった。食欲はあるけれど、途中で嫌悪感が込み
上げてきてはトイレに駆け込む日々だった。

高校に入るために日本に引っ越してきて、家族と離れて
祖父母の家に居候して、居心地の悪い食卓で、それで
・・・・・・限界だったんだと思う。

泣き疲れて眠った。ゼリーでさえも全部飲みきれなくて
捨てた。食べ物と時間と送り出してくれた家族全てに
申し訳なくて、ついには食事を諦めた。

断食はピークを過ぎると別に苦痛でも何でもなかった。
どんどん痩せていって、栄養が足りなくなったのか、
帰ってすぐに倒れこむように眠る日が続いた。
本当にどうしようもない時には、生存本能という身体の
基礎機能が助けてくれるんだと知った。

そのうち、吐くことがストレス発散になっている自分に気がついた。絶望感と嫌悪感がこびりついた。
0からの場所で、誰を頼ればいいのか分からなかった。

とにかく全てに疲れていた。
もう何もいらない、放っておいて欲しいと思っていた頃。
私のSOSに反応してくれて、余裕がなくて自暴自棄な私を
しつこく心配してくれた人たちがいました。

本当に嬉しくて、感謝しても仕切れなくて。乗り越えて
落ち着いた今、わかる。「何もいらない」なんて思って
いた私は嘘だったよ。本当は構って欲しかった。
私の拒絶も全部無視して、強引に引っ張り出してくれる人になら甘えてもいいと、ホンモノの優しさだと思えた。

めんどくさかった自分。でも、何もいらないなんて、
本気で思うことはないよ。幸せの絶頂にある時以外は。


だから、
あの時の私の言葉を信じないでくれてありがとう。


#7 何もいらない

4/21/2024, 7:57:31 AM