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「予定はあるの?」と聞かれて、「何の?」と聞き返してしまった。
「だって、今日はクリスマスイブじゃない」と、半ば呆れたように、イズミは言う。
「帰って寝るだけかな。チキンくらいは食べるかもしれないけど。どこでも売ってるし…帰りに帰るかも」
「それだけ?」
「ケーキも食べるってこと?まあ、食べてもいいかもしれないね」
「…そう言うことを聞いてるんじゃない…」
「クリスマスの前の日ってだけだよ」

コートを着てバックパックを背負って、ドアのノブに手をかけた。
「今日はそんなに思い詰めるほど特別な日じゃない」
振り返って、イズミに向かってにっこり笑った。
「明後日にはまたここで、一緒に働くわけだし」
深いため息をついたイズミは目を逸らしながら
「確かにそうなんだけどね」と言う。
「何となく予定が入っていないのが、恥ずかしい気持ちがある」
「ふうん…ただのクリスマスの前の日なんだけどね」
「そういう風に思えたらいいんだけど」

いつものように笑い飛ばして、さよならを言う…つもりだったけれど、
最後の声音が素直に弱々しかったので、身体を向き直した。
ドアの向こうではなくて、室内の方へ。

「…素直に誘えばいいのに。残業はまっぴらごめんだけど、夜の散歩とか、モノポリーとか、夜のお茶とか、チキン食べ比べなら、まっすぐ誘われて暇なら乗るよ、誰だって」

「…チキン…買いに行くのについてきて」
「OK。どこが1番近いかな。でもまあまあ遅いから、さっさと出よう」
「30秒で支度する」
「うん」
「あと…モノポリーなぜかある、このオフィスに」
「最高」 
2人で笑った。
予定がないなら、今から作ればいいよね。




12/24/2022, 12:52:33 PM