夏になると恋しくなるし、冬になると避けたくなる。
季節が理由なのもあるけれど、それだけではない気もする。
夏のバカンス、フェス、花火大会といった浮かれた空気に、ほんの少し気後れする瞬間があって、そんな時に逃げるように日陰に飛び込むのだ。
逆に冬になると肩を竦めて早足で歩く人や、雪が降る直前のどんよりと重い雲に気が滅入って、更に薄暗い日陰から逃れるように遠のいてしまう。
ずいぶんと身勝手だと思うけれど、黙って受け入れてくれる場所の一つくらい、あってもいいはずだ。
END
「日陰」
1/29/2025, 2:32:49 PM