いやに赤い夕日に照らされ、遊具がどこか薄気味悪く長い影を地表に落としている。
公園は閑散としており、ジャングルジムに登って遊ぶ子供が一人いるだけだ。
彼は知らないのだ。この街に越してきたばかりだから。そこが曰く付きの公園だということを。
一人遊びが得意な彼は、貸切状態と言わんばかりに楽しそうに遊んでいる。
そこに突如、誰かが啜り泣く声。
驚いて注目すると、ジャングルジムのすぐ側でしゃがみ込み泣いている女の子の姿があった。
一体いつからいたんだろう? 不思議に思いながらも彼は女の子に声を掛けた。
「どうしたの?」
「ここで大事なものを失くしちゃったの……」
「そうなんだ。一緒に探してあげるよ」
彼はジャングルジムの中や周辺をくまなく探す。だが、それらしいものは何もない。
そういえば大事なものってなんだろう。
そのことを訊ねると、女の子はゆっくりと顔を上げて、
「大事なもの──それは私の命だよ」
そう答える女の子の頭はぱっくりと割れ、首は折れて真横に傾いている。青白い肌に生気は無く、煤のように真っ黒い虚ろな目で彼を見ていた。
テーマ【ジャングルジム】
9/23/2022, 11:12:06 AM