凪沙レイ

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××××年、新年が始まった。
〈君〉と行く初詣もこれで最後。
だから、少しくらいサービスしたって構わないだろう。
だから、ちゃんと願いを聞いてくれないかな…。
なんて、傲慢だろうか

何も願わなくなってからもう何年も経った。
願うのはこれで最後。
神様の存在も、今年くらいは信じてもいいだろう。
丁寧に、お辞儀をして
ゆっくり手を合わせた。

こんにちは、聞こえてますか?
はじめまして。いもしない神様へ。
16年と11ヶ月生きてきました。2日後には17歳になります。
しかし、あと数ヶ月で終わるようです。
だから最後くらい神頼みをしてみようと思いました。

一つ、__がいなくなった世界でも〈君〉がずっと笑っていられますように。
もう一つは____。

願いを終えて、目を開いた。
隣には、まだ目を閉じて願う〈君〉がいた。


 ̄ ̄ ̄

ついに、か…。
自分でもわかる。もうそろそろだと。
〈君〉と過ごしたこれまではいつも楽しかった。
叶うことなら、これからも過ごしていきたかった…

窓の外には風に揺られて舞う桜。
〈君〉と出会ったあの日のように
暖かい日差しと桜の風景が見える。

ふと、机に置いてある〈君〉のノートが目に映った。
手にとって見てみると、これまで過ごしてきた__との日常と、
……〈君〉についての秘密や、想いが綴られていた。
初めて知ったことも多くあった。
〈君〉の気持ちをちゃんと知れていなかった。
…〈君〉は自分も同じなのに、普通のフリをして
__を支えてくれていた。

最後のページには、__や〈君〉の家族に宛てた手紙があった。
その手紙にも目を通して、端に
「__も好きだよ」
と、書いてペンを置いた。



 ̄ ̄ ̄

気持ちがいい。
だんだん眠たくなってきた。
これで眠ればもう二度と目を覚さないだろう。
隣で眠る〈君〉の横で、自分も横になった。

髪を、頬を、手を、唇を。
〈君〉がいつも__にしてたこと。

仕返しだよ、いつものね…。
やられてばかりじゃないんだから。

「ふふっ…。ねぇ__ 」


「大好きだよ、__のことが。もう、一緒にいられないけど
寂しくはないよ。__が隣にいてくれるからね」


__の手を握り締めた。
もう抗うことのできない眠気に身を任せ、瞼を落とす。
一筋の涙が頬を伝った。
それが、最後に感じた熱だった。

4/15/2026, 8:16:21 AM