「僕と一緒に行かない?」
そう、仲の良いお客さんからお出かけのお誘いを受けた。
まあ、お客さんからの縁だけれど、少しプライベートも話せるようになった異性のお友達だ。
私は視線を泳がせて回答に困惑する。いや、私も少しはプライベートを話すけれど、恋人がいるとまで話してはいなかった。
「二人きりならだめ」
どう回答しようか悩んでいると、私の後ろから聞き慣れた声がして胸が高鳴る。私を誘ってくれた人も驚いて〝だめ〟と聞こえた方に振り返った。
そこには満面の笑みを浮かべる恋人が立っていた。
「ダメってなんで?」
「俺が許可しないから」
私は不安な視線を彼に送ると、彼は優しい瞳で私を見てから頭を撫でてくれる。
「許可?」
隠している訳じゃなくて話すタイミングが無かっただけだから、これがそのタイミングだと思うことにした。
疑問の声と同時に私へ視線を向けられると私は応えるように笑った。
「二人きりだと彼の許可いりますね」
その言葉だけで大体察したようで、友達は首を縦にゆっくり振りながら「あ〜」と頷く。
「私の恋人です」
「彼氏です」
「ごめん、そりゃ許可いるね」
おわり
四九五、僕と一緒に
9/23/2025, 12:45:35 PM