一尾(いっぽ)in 仮住まい

Open App

→短編・小さいけれど大きな幸せ
        (タイトル変更 '24.10.7)
―ップシュッ!
「あ~、美味いなぁ」
 冷えた缶ビールを一気にあおった僕の声は浮かれている。
 そりゃそうだ。
 今日一日を振り返ると、ご機嫌にならずにいられない。
 奇跡的な一日だった。
 通勤では往復とも座ることができた。就業時間内にクライアントやら何やらに時間を取られず、自分の仕事をサクサクこなせた。ペットボトルのキャンペーンで、QRコードを読み込んだら結構な額のポイントが当たった。帰り際にスーパーに寄れば、午前中には売り切れるというコロッケのアツアツが買えた。何なら、最近爆売れで手に入らないと噂のビールまでゲットできた!
「上出来な一日だったなぁ」
 ビールで喉を潤して、コロッケに箸を入れる。サクッと衣の音が心地良い。早速一口。ほんわかしっとりじゃがいもの食感と、少し甘めの味付け。
「幸せだなぁ」
 しみじみ想う。本当に僕には過ぎた一日だったなぁ、と。

テーマ; 過ぎた日を想う

10/7/2024, 12:44:52 AM