また一体、進行方向を塞いでいる敵を魔法で打ち倒した。素材集めのために一人で潜っていたダンジョンで落とし穴のトラップを踏んでしまい見知らぬ場所にたどり着いてしまったのが7日前、絶望と隣合わせの状況の中でたまたま拾った杖がとんでもないチートだった。ほぼ無限に特定の魔法を連打できる、なんて知ったら一体どんな目に遭うか想像にかたくない。事実強い敵も遠距離から炎弾やら魔法の矢を撃ち込んで倒せてしまうし、水不足に困ることもなく、寝る時の安全も確保できる杖なんて世界中の人が喉から手が出るほど欲しいに決まっている。
(そういう意味では入った場所とは違う場所に出そうなことは救いだよな。どう考えても同じダンジョンとは思えないくらい魔物が強いしな。)
そんなことを考えながらさらに歩くこと1時間、ついに視界が少しずつ明るくなってきた。逸る気持ちを抑えながら今まで以上に慎重に進んでいく。
(ここでまた落とし穴に落ちて最初から、なんてシャレにならないからな)
案の定存在したトラップを解除して曲がり角を曲がった私の目の前に現れたのは正真正銘の出口だった。柔らかな風に包まれながら外に出た私を迎えてくれたのは、どこまでも続く青い空だった。
(何とか生きて帰ってこれたな。さて、ここは一体どこなんだろうか。まずは周囲の確認からだな。)
当面の方向性を決めた私は新たな1歩を踏み出した
10/23/2024, 12:35:01 PM