『静かな情熱』
『...』
こんなに沢山の人がいるのに静かな空間が
でき上がるものなのかと筆を進めながら思う。
みんなそれぞれ違うものを描いている。
誰1人声を発しないほどみんな集中している。
ただただデッサンをする時の鉛筆で線を引く音だけ
が教室内に響く。
普段よく喋るみんなだからこそこの静寂から
真剣さが伝わってくる。
その一方で僕はずっと心の中がうるさい。
ちらっと視界に入った仲間のデッサンを見て
上手いなあと思ったり、優しく差し込む光を
どう表現しようか悩んだりとずっとうるさい。
みんな熱が伝わってくる一方、
暖かくなってきて眠気を誘うこの静かな時間が
ずっと続けばいいのにと思うほど呑気な自分がいた。
語り部シルヴァ
4/17/2025, 10:52:07 AM