カーテン
人も、妖精も、魔獣も、ゴーストも、みんな寝静まった頃。私は暗い部屋の蝋燭が灯った机にむかっていた。静かな部屋にペンを走らせる音だけが響く。何も無い、ただの夜の一時。何も無いからこそ感じることだってある。
昼間はあんなに沢山の人、妖精、ゴーストたちが溢れていたメインストリートも、植物園も、広場も、今は闇と静寂に包まれている。まるで夢を見ていたような変わりように、一人だけ取り残されたような感じがした。
不安も恐怖もないけれど、一人になりたくないと思うのは、昼間隣にいてくれる彼らのおかげだろう。この感情は寂しさか。
とはいえ、夜は必ず一人になる。これは避けられないことだ。胸騒ぎを押し込むように勉強にのめり込み、問題を解く、本を読む、書き続ける。
いつだって気を抜いては行けない。
「目覚まし時計」が鳴る。いつの間にか日が昇り始めたようだ。魔獣……じゃない、我らが親分を起こさなければ。
また一日が始まる。
白いカーテンをぬける光だけが、静かに降り注いだ。
10/12/2024, 3:15:41 AM