『ミユ!!お前魔法を使え!!』
「そそそ、そんな事急に言われたって!」
大きな崖を前に立ち尽くすミユ。後ろには巨大な白いクマがとんでもないスピードでやってくる。クマは周りにある木々を押し除け、薙ぎ払い、切り倒してからミユ一直線に突き進む。ミユにゆっくり判断させる時間はなさそうだ。
『いいか!今からやり方を教える!!』
「別にやるって言ってないけど!!!」
ミユは少しキレ気味で応えた。
『今からお前は魔法で蜘蛛の糸を出して向こうにある崖まで渡る!!』
「りょ、了解!!」
向こうの崖はここから25メートルほど離れた所にあり、しかもかなり下の方にある。ミユは少し震えた。
『まずは頭に10の数字と魔素を思い浮かべる!』
「はい!!」
ミユは目を瞑って10という数字と、魔素?まぁ、よく異世界転生であるあの魔素だろうと思ってそれを頭に思い浮かべる。それにミユは一度光魔法【シャイニング】を使った事があるので、魔法の出し方は何となく分かっていた。
『そして次!数字を3と7に分けて、3には強度。7には距離を思い浮かべろ!』
「すみません!!よく分かりませんでした!!」
『糸の強さ:糸の長さ、3:7ぐらいの感覚で!!なんとなく!!』
「オッケー!!」
ミユはなんとなくで強さと長さを3:7ぐらいを思い浮かべた。クマはもう眼前まで迫ってくる。あまり時間がない。
『そして、あそこの崖の地面辺りに利き手を伸ばせ!!』
ミユは崖の地面辺りに目線をやり、そこに右手を伸ばした。
『最後!!自分が蜘蛛の糸を出してあの崖の地面まで繋ぐ事を想像しろ!!』
「分かった!!!」
ミユは想像した。自分の手から蜘蛛の糸が崖の地面まで伸びていく事を。それはまるで今までライトノベルの中で見てきた光景だ。
『今から魔法を使う!!そのとき絶対に強くするな!!軽めにふわふわとした感じで!!絶対な!!』
「う、うん?まぁ、分かった!!」
ミユは軽く、ゆる〜く右手に力を入れた。その瞬間ミユの手から魔方陣が展開されて、その中心から蜘蛛の糸が飛び出した。
「うわっ!マジで出た!」
その糸は長く長く伸びていき、遂には崖の地面まで伸び、くっついた。
『飛べ!!!』
クマが大きく手を振りかざしミユめがけて腕を思いっきり下ろす。それと同時に。ミユは咄嗟に魔方陣にある糸を掴み、崖から身を投げた。ミユはターザンのように綺麗な放物線を描いて向こうの崖へ飛んでいった。
6/17/2025, 10:08:49 AM