『ココロオドル』
星矢の強烈な一撃を受け、オレは目を覚ました。
オレともあろうものが何をやっていたのか。一体何を考えていたのか。
敵を殺すことに躊躇いを覚えていたなど。
殺せ。
頭の中で声がした。
目の前に立つ者を殺せ。皆殺しにしろ。皮を裂き、肉を断ち、骨を砕け。獅子宮に血の雨を降らせろ。お前の前に立つ全ての者を抹殺しろ。
頭の中の声に、オレは唇を歪めた。
そうだ、敵を殺すことこそオレにとって極上の歓びだ。その証拠に、今右足を折ってやった星矢が叫びのた打ち回る姿を見て、オレは愉悦を覚えた。
この後、ボロ雑巾のようにズタズタにされて獅子宮の床に転がる星矢を想像しただけでオレは心躍り、大笑いしそうになった。
星矢は折れた足で懸命に立ち上がり、オレに立ち向かおうとしている。無駄なことを。日本では黄金聖衣のお陰でオレの光速拳を躱せていたが、本来青銅と黄金の間には到底超えられない壁があるのだ。それを今、お前に教えてやる。そして絶望の中で死ぬといい。
オレは全力の光速拳を放った。
10/9/2023, 11:55:22 PM