今年の誕生日は、この人生で1番幸せだった。
新しくできた友達に祝われ、新しくできた可愛い彼女に祝われて、懐かしい友達からも祝われた。幸せな誕生日だった。
「今日は海に行こう!」
僕の誕生日は梅雨だが、今日の天気は僕の誕生日を祝うように晴れていた。そんな中、友達はそんな誘いをしてきた。
「…そんなに行きたい?昨日は雨だったし荒れてるから入れないと思うけど。」
そんなふうに返したが、見るだけでいいからと押し切られてしまう。仕方なく了承したが、どうなるだろう。
放課後になり、海に着いた。雨が降る様子は無かったが、海は荒れているようだった。
「で?何すんの」
「こいつだよ」
友達は、花火を取り出す。
「バケツなんか持ってきてねえよ」
「そこにバケツがあるじゃねえか」
友達は海を指さす。ふつうに犯罪じゃん。
とりあえず友達を説得し、付近に落ちていたバケツをこっそり借りて花火をすることになった。
まるで昔のように遊び、楽しむ。
ただの手持ち花火も、もっと子供の頃はよくやった。
夏を楽しむことなんて、近年は全然してなかったから、
久々に昔のように遊べて、とても楽しかった。
「もっと女とか呼べばよかったな」
友達が言う。
「バカ言え、俺らに女の気はないやろ」
「…悲しいこと言うなよ」
こんなふうにバカ騒ぎできるのも今年が最後。
来年はさらに遠くへ離れて行ってしまう。
せっかくの最後の夏、楽しむことにしよう。
誕生日の今日、どうやら梅雨明けだったらしい。
それを知った瞬間。夏だと認識した。
高校最後の夏の気配は、今まで感じた夏より暑く感じた。
6/28/2025, 5:19:01 PM