虹の始まり。
それは生き物だった。
虹はいつも空に浮かんでいた。
龍のような細長い体は、いつも神々しく色鮮やかに輝いていた。
雨上がり、空を見上げれば常に虹がいた。
けれども、虹に触れたというものはいなかった。
虹はどこに住んでいるのか、どこにいるのかは誰も知らなかった。
虹がどこから来たのかは知らなかった。
虹は、昔は生き物だった。
虹はいつも空に浮かんでいた。
けれども、誰も虹に気がつくことはなかった。
虹が光の屈折だと知ったから。
虹の正体は、雨と光であることを解き明かしたから。
虹は、誰も気が付かれることなく帰っていく。
蛇のようなしっぽを揺らして、7色の色鉛筆に描かれながら。
虹は、今も生き物かもしれない。
けれど、虹の住処を探す人は誰1人いなかった。
虹の始まりは、誰も知らない。
その日も虹は空に浮かんでいた。
小さな子供が、手を振っていた。
少しだけしっぽを揺らしてあげた。
虹が、少しだけ揺らいだ。
7/29/2025, 8:22:35 AM