小さな命。
道路の脇の、少し隙間の空いた溝に溜まっている土から、植物が生えていることがある。
それを見て、人は、
すごい、こんな所から生えているなんて。
こんな狭い場所で、可哀想だ。
どうにか降り立った場所に根を生やせる場所が
あって、運が良かったんだなぁ!
こんな所で芽吹いて、
ちゃんと生きられるんだろうか。
こんな場所でも生きることを諦めないなんて、
たくましくて、力強いなぁ…。
そんな風に、各々の考えで感想をもつ。
そもそも気付かない人も、
見たとしても何も感じない人もいる。
私は、降り立った場所がたまたまそこだったから、
どうにかそこで命を繋ぐことができたんだなぁ、
良かったなぁと思っていたのだが。
その種はきっと、風に乗って空を駆けて来た訳で、
降り立った場所が気に入らなければ、
また風に乗って空を飛べば、別の場所を選ぶことができたかも知れない訳で。
そうなると、種自身が、自分の意思でそこに生えたいと望んで根を下ろしたのかも知れなくて。
(…もちろん、次に降り立つ場所が今より良い場所とは限らないというリスクを考えてどうにか生きられそうなそこを選んだという可能性もあるし、
もしくはそんなことは一切考えていなくて、ただそこに根を下ろせそうな土があったから根を下ろした、というだけかもしれないが…。)
そう考えると、素晴らしいことだなと思う。
それぞれが、それぞれの場所に魅力を感じ、
可能性を感じ、生き場所を選ぶ。
私たち自身も、一人ひとり、小さな命に他ならない。
最初に降り立つ場所は選べないかもしれないが、
今いる場所に満足できないなら、時間がかかっても、
その後いつか飛び立つことはきっと出来るはず。
自分に相応しいと思える居場所を見つけ、
ここが自分の生きる場所だと、
すべての人が誇りをもって日々を過ごしていければ。
そんな世界になれば良いと、願っている。
2/25/2023, 7:05:59 AM