ゆき

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「好きです 。」
今日私は、親友の彼氏に告白をした 。
始まりは1年前まで遡る、私が移動教室へ向かう時だった 。受験勉強に追われる毎日で心身共に疲弊してたのだろうか、階段を踏み外し盛大に転けてしまった 。
誰もが唖然と私を見ている中、親友の彼氏である中山祐一が手を差し伸べ一言 、「大丈夫?立てないなら俺に捕まって 。保健室まで連れてく 。」
たったそれだけだった 。たったそれだけ良かった 。私が恋に落ちるのにそれ以外の理由はいらなかった 。
中山祐一は、スポーツ万能ではあるが学力は中の上くらいで、他の男子と良く絡むが異性と絡む姿は見たことがない所謂 、今どきの男子生徒だった 。
そんな彼がなぜ、私の親友に恋して、告白して、付き合っているのだろう 。なんで、私じゃなくて親友なのだろう 。そんなモヤモヤした自己中な感情が心の中や頭の中を支配した。
そんな事を思っていると思っていない親友の金山美優は、今日も地味な眼鏡を押し上げ隣で読書を楽しんでいた 。今までは、鼻にかからなかったその行動も今ではとてもインテリぶっていて腹が立つ 。
そんな感情をかき消すように、私は美優に声をかけた 。
「 最近、中山くんとは上手くいってるの ? 」
たったそれだけの質問で誰もいない放課後の教室画静かになった 。騒がしいのは外で部活をしている野球部やサッカー部だけに感じた 。
誰もいない教室で2人が黙れば静寂が教室を囲むのは当然の事だが、どこか気まずく感じてしまった 。
「 うん 。ぼちぼちかな 。」
その曖昧な回答に、少し腹が立ったがお得意の作り笑顔でそっかと答えた 。
きっと、最近受験や最後の部活と恋愛の両立が上手くいってないんだろう 。そう私は考えてしまっていた 。
大切な親友の彼氏なのに、自分の欲望が抑えきれないでいた 。
私も、勉強の追い込み時期だ志望校はあと少しの努力で入れると考えて、恋愛をしている余裕はあるのだろうか 。いや、伝えなくては後悔してしまうだろう 。

_____そして私は 。

3/2/2024, 9:34:57 AM