『沈む夕日』
恋愛と言うのは甘く、苦い物だ。
矛盾しているのはわかっている。だけど私はそうだと思う。
好きな人と付き合ったりしてイチャイチャすると言うのも恋愛だし、好きな人から振られて泣いたりするのも恋愛だ。
私は、放課後に近くの河川敷に来ていた。幼少期の頃から来ている思い出の場所だ。お母さんに怒られたり、学校で嫌な事があったりした時は、この河川敷の夕日を見ると気持ちが軽くなったりする。
すでに太陽は落ち始め、周りが橙色に染まっている。
この河川敷は岸から川に行く道の途中に傾斜があり、階段があってそれを最後まで降りる事で平地にいけて、少し歩くと川の近くまで行ける、と言う様なありふれた河川敷だ。
下まで降りれる階段を途中まで降り、手すりの下にある支柱の間をくぐり、傾斜がある芝生に座る。
私は今日、クラスメートの煌驥に振られた。彼にも好きな人がいるらしい。勿論、その人は私じゃ無い。
だから、振られた。とても苦しい。泣きたい。だから、この気持ちを軽くしてくれるかなって。忘れさせてくれるかなって思って、ここに来た。
でも、人生はそう上手くは行かない。簡単にこの想いは消えないし、長い時間が経ったり、この後もずっと、何か私が大きく変わったりする出来事でも無い限り煌驥を想い続けるんだろう。
実らないって、わかってる。もっと話しておけば、仲良くなっておけば、みたいな後悔も沢山出てくる。
今そんな事を考えても、遅い。後悔は『後』から『悔やむ』こと。後を前には出来ないし、私は過去戻り出来るなんて能力も無い。
太陽が、更に沈んで行く。
こんな気持ちも、夕日に溶けてしまえば良いのに。
4/8/2024, 6:10:44 AM