rororu

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『枯葉』(創作)

「枯葉だなんて、ずいぶん季節はずれね。」
もう二月なのに、と、ふてくされたように言うと、彼女は、ぼくに共感を求める視線を寄越した。

ぼくたちは、あるアプリを使っていたことをキッカケに仲良くなった。アプリ友達だ。アプリは単純で、毎日文字を書く習慣をつけるためのアプリだ。ご親切に毎日お題を出してくれるのだが、今日は、そのお題が「枯葉」だったのだ。

「枯葉のイメージって、枯葉の下の虫の冬眠とか、かな。」
ぼくは思ったままを彼女に伝えた。
「え、、、なんか、きも。虫はやめてよ。虫はむり。」
思いの外ドン引きされて軽く傷付きつつ、彼女が何を書くつもりなのか聞いた。
すると彼女は「枯葉、見に行かない?」と誘ってきた。
「実際に枯葉を見たら、イメージ湧きそうだし、ね、行こうよ!」と、ぼくの手を引いて歩き出した。

ところが、枯葉はなかなか見当たらなかった。
それもそのはずだ。温かい日が続いて桜が咲いているくらいなのだから。
「桜見て、帰ろうか?」と、しょぼくれた彼女を励まそうとぼくは提案した。

「うん、いいね。」と言った笑顔の彼女は可愛くて、ドキッとした。

ぼくの春も近いといいな。

2/19/2024, 11:30:20 AM